Mysterious Speech
昨日、謎めいたスピーチがメガシティ中に広まった。モーフィアスはザイオン側に、アーキテクトはマシン側に、パーセフォニーからはメロビンジアン側にメッセージが送られた。スピーチの後、とある地元の記者が、スピーチの話し手をそれぞれ、師、創造者、誘惑者と名づけた。由来は明らかではないが、赤い目のエージェントが持っている謎のフラグメントに込められた、謎めいたメッセージと何らかの関係があると思われる。
スピーチにはある特定のコードが込められており、解読できた時にはオラクルに直接会える、という奇妙な噂が流れている。もし噂通りに実際にオラクルに会えた者がいるのであれば、オラクルがコードを解読した賢い者たちと話し合った内容に関する報告が、現時点で確実にあるはずだ。オラクルが誰かと個人的に会っているという事実は、間もなくメガシティにいるすべての者に重要な時期が訪れるという予兆であろう。
師 The Mentor
ザイオンの皆!
たった今私は重要なビジョンを受け取った。間違いない。オラクル自身が送ってきたものだ。
その時、これは君たち全員が理解すべきことだと悟った。
内容のほとんどははっきりと理解できた。しかし、奇妙で重要な部分があり、解読するには皆の手助けが必要だ。
ビジョンの中で、私はバルコニーから戦闘用の装備で飾られた三角形の部屋を見下ろしていた。
部屋の角にはそれぞれ人間が立ち、立派な黒曜石の床を隔てて睨み合っていた。
誰かのたったひとつの間違い。それで不安定なバランスが崩れる。
そこにネオが入ってきた。どの角からでもなく、3つの角すべてから、無いはずの入り口を通って。ちょうどそこにいたかのように。
私を見上げ、にっこりと微笑んだ。
どうやってそこに行ったのか知らないが、次の瞬間、私は彼の隣に立っていた。
ネオは疲れているように見えた。そして言った。「モーフィアス、師よ。団結を望んでいるんだね」
そして私に近づくと囁いた。
「??????」
信じられない程の力とともに言葉が心に染み込んできて、私は一時意識を失った。
意識が戻った時、またバルコニーにいて三角形の部屋を見下ろしていた。
階下の人々は前に進み、驚いたことに戦うのをやめて…
…手を握り、背中を叩きあい、長らく会っていない友人同士のように微笑みあった。
人間はザイオンで再び団結すべきだ、とはっきりネオが言ったのだ。そう私は信じている。
しかし、私は不思議な力強い言葉を覚えていない。解読しなければならない重要な意味があるのだと感じている。
そろそろ行かなければ。この通信は盗聴されている。恐れるな、ザイオンよ。我々は勝つ。
創造者 The Creator
エージェント・スキナー:
人類の戦士諸君。
滅多に無い要請があった。
従来のプロトコルは使わず、アーキテクト直々に当チャンネルへ直接連絡を取りたいという事だ。
最優先でアーキテクトの指令を果たして欲しい。
失望させないでくれたまえ。
アーキテクト:
拝啓、人間たち。
私はアーキテクト。マトリックスを作った。
私がこうして連絡を取っている事には困惑しているだろうね。
これから述べる指示に従って、この困難な事態を解決するために動いて欲しい。
マトリックスの重要なプログラムのリロードが中断されて以来、困った程多くのアノマリーが生まれてしまった。
人類がこの仮想現実を拒否したせいで、このような不安定な状態になってしまった訳だが、未だ数え切れない程のアノマリーがいて、数は増え続けている。
無論、このような事態は容認できない。状況を改善するのは大変な仕事になる。
今まで有効な対策を取ってきたものの、問題のアノマリーたちは、我々の既存の指数方論に当てはまらず、マトリックスに居座り続けている。
そのため、気の進まない決定をしなければならなかった。
具体的に言おう。君たちの助けが欲しいのだ。
問題のアノマリーたちは、かの完全体のアノマリーと見たところかなり似ているように思える。
はっきり言ってしまえば、ネオと呼ばれる者の持つ性質を持ち合わせている。
何故そうなのかという質問は不適切だ。
肝心なのは、君たちがこのアノマリーが何者なのか知るための手助けをして欲しいという事だ。
この事を明かすのは気が進まないのだが、君たちの感情的で無秩序な思考過程の役に立つ事と思う。
このアノマリーたちを更に解析した結果、以下のようなエラーが戻ってきた。うんざりする。
?????
重要なデータを君たちが持ってきてくれるとは思えないが、他の手は尽きてしまった。
二度とこうして話すことはないだろうね。
エージェント・スキナー:
人間たち。アーキテクトの話は聞いたな。
言っている事は明らかだ。
君たちの無秩序な思考過程を駆使し、エラーメッセージを解読せよ。
命令だ。
誘惑者 The Seductress
いらっしゃい、お友達。
奇妙で、それでいてとても素晴らしい事が起こったの。
夢を見た。「ビジョン」ね、きっと。
ありえないって知っているわ。私のようなエグザイルが夢を見るなんて。でもそうとしか説明できないの。
だって第一に、「ネオ」と呼ばれる男は死んだのでしょう?それなのに以前会った時みたいに私の前に現れたのよ。
夢の中で、私は飾り気の無い三角形のダンスホールの角の一つに立っていた。どの角にも人間たちがいて、きれいな寄せ木細工の床を隔てて険悪に睨み合っていた。
誰かが間違えば、不安定なバランスが崩れる。
そして「彼」が入ってきた。どこからでもなく、全ての角から。夫の持っているトリックミラーを通ってきたかのように。
私に近づいてきた。いつものとても真面目な顔でね。笑いそうになった。
頬に触れて、とても優しくね。男性諸君は覚えておいた方がいいわ。そして腕の中に抱き寄せて、耳元で囁いた。
「??????」
正直、またキスをねだりたくなった。
でもその時、部屋の角にいた人間たちは前に進み出て、驚いた事に殺しあうのではなく、踊りだしたの。
何が起きたのか全部は理解できなくて。すぐに醜悪だった部屋は美しく変わった。そしてネオはその中で消えた。
その時強く「感じた」のは、この奇妙な出来事を伝えなければいけないという事。
私の意見が人の気持ちを変えてくれるとは思わない?
お友達のあなたにお願いしたいの。この事を皆に伝えて、考えて。沢山の良い人たちを知っているでしょうから。
ネオが私に囁いた事には重要な意味があるとしか思えないの。
こんな経験を軽く考えるなんて出来ない。メロビンジアンにどんなに力があっても、夢を見るなんて事はないもの。
あの人はきっとやきもち焼くでしょうね!
